《MUMEI》
写真撮影
十月中旬だというのに、走ったせいか、新鮮な牛乳のおかげかソフトクリームはかなり美味しかった。


つい夢中になって食べていたら


「可愛い」


…志貴にデジカメで撮られた。


「俺だけ撮ったって意味無いだろ?」


(せっかくの修学旅行なのに)


首を傾げる俺を、また何故か写真におさめてから


「甘いわよ、祐也。ソフトクリームより甘いわ!

祐也の写真はファンクラブに大人気なんだから!」


ウインク付きで説明した。


「売るのか?」

「高く売れそうだけど、会員用だからタダよ」

「…………そうか。…残念だ」


(人で商売するなよ、真司)


真司の家の経済事情は聞いてしまったが


小さく言った『残念だ』の部分がやけにリアルに響いたので、俺は真司を睨みつけた。


それから、『せっかくだから皆で撮ろう』と拓磨が言うから


ソフトクリームを食べ終わってから記念写真を撮った。


「サンキュー、拓磨!」


撮り終わった後、守は拓磨にお礼を言った。


俺達の写真を撮ったのは、志貴に指名された拓磨だった。


俺・真司・瀬川・渡辺の四人は何も言えなかった。

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