《MUMEI》 樹、厳密に表すとアヅサは生物室で目撃した人数を覚えて襲った。 指輪を嵌めて殴っていたのだろう、そのときに篝の歯が折れた。 「指輪は殴ったとき痛いと思って使った。 俺を探し出して貰うためにお前だけは生かしたんだよ。」 樹が密着ぎりぎりまで近付いてくる。 「離れろ」 声を張って叫んだ 「汚いからか? 樹はなあ、お前なんかよりずーっと綺麗だね。 あと、俺の樹誑かすの止めろな?」 殆どの視界の面積が樹で充たされる。 アラタの喉に彼の指が触れて離れた 「腐る」 アラタは掻きむしりたくなる衝動を抑えた。 「このまま、殺したり 人質にとったら お前の後ろの奴らがあぶり出せるだろうな」 樹は深い闇色に同化している。陰り帯びた瞳。 アラタが知る限りの彼では覚えのない顔だ。 「―――冗談。」 樹は両手を花のように広げて散らす。 口元が悪戯がばれた子供のようだ。 「 怖かった? 樹への報復がメインだったし。体も流石に限界みたいだし。 なにより 樹が斎藤アラタを傷付けたくないんだとさ。」 樹は鼻で嘲笑した。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |