《MUMEI》
脱出
「──はぁっ‥‥‥」





何とか、

校長室から脱出した。





「弥生──これからどうする‥?」

「──帰ろうか」

「ぇ、帰るの?」

「──木村君がね、そう言ってるの」

「ぇ」

「弥生‥?」

「だから帰ろ? ね?」

「───────」





圭織達は顔を見合わせて、

不思議そうに首を傾げた。





「じゃあ──帰ろっか」

「そだね──」

「うん」

“──弥生さん”

「?」

“──ありがとね、僕の事誘ってくれて”

「嬉しかった?」

“うん。嬉しかったよ”

「──ねぇ」

“?”

「木村君って‥‥‥」

“‥うん、君が生まれるよりずっと前に‥‥‥”

「もう──会えないの?」

“どうかな──まだ分からないや”

「そっか‥‥‥」

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