《MUMEI》 もう一匹琥鬼(こき)、風牙(ふうが)、雪兎(せつと)。 夜桜の兄である陰陽師──彩貴(さいき)が邸に連れ帰り、以来こちらにとどまっている。 そして──もう一匹。 「──お前は本当に潜るのが好きなんだな──」 夜桜の懐から、ひょっこりと覗いた金色の眼。 ふわふわとした毛皮に覆われ、手毬のような見た目をしているが‥‥‥黒い。 「お前もまだ眠くならんようだな──黒手毬」 手のひらに載せて撫でてやると、その妖はくすぐったげにしながら──眼を三日月形に細めた。 「時に──お前は何の妖なんだ‥?」 今まで数々の妖を見て来た夜桜だが、彼女は黒手毬のような姿のものを見た事はなかった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |