《MUMEI》 「嫌、嫌ぁ!聞きたくない、私は何も聞きたくない!」 両の手で耳を覆い涙すら流し始めてしまう高岡 彼女の心中が乱れれば乱れる程に、糸は解く事が出来なくなってしまう程に複雑に絡んでいった その高岡の肩を男は抱いて 耳元で落ち着けと低音が聞こえる 高岡の手を取った男が猫へと一瞥を向け 猫は微かに頷くと、高岡の小指から伸びる糸を口に銜え辻の中央へ すれば絡んでいた筈のそれらが一瞬にして解け、四辻の北側へと延びて行った 「皆喜べ。待ち望んでいた(糸)じゃ。これを辿り在るべき場所へ帰るが良い」 耳に穏やかな猫の声 ソレにまるで従うかの様に、朱たちは列を成し(帰路)へと着いた 静まりかえった一の辻 暫く呆然と立ち尽くしていると冷たい風に中てられ 気付けば現 辺りを見回してもそこにあるのは高岡の存在一つで 猫と男はいつの間にか姿を消していた 「……訳、わかんない」 自身の手の平を睨みつけながら呟けば、途端に疲労が意識され始める すっかり疲れてしまった身体を休めてやりたい、と 高岡は踵を返し、家路へと着いたのだった…… 前へ |次へ |
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