《MUMEI》
目的(ヒイラギ)
「‥何だ、熱でもあるのか」





金髪少女のひんやりした手が、

僕の額に触れた。





無表情の顔が、

俺の顔を覗き込む。





心臓が、

爆走しそうだ。





いや、

爆走したら大変だよな‥。





「おい、どうしたというんだ全く‥」

「──好きだッ!!」

「は‥?」





唖然とするキンカク。





僕は、

そんなキンカクに抱き付いていた。





「こらっ馬鹿者ッ離さんか、こらっ」





金髪少女が、

離れようと暴れる。





「貴様ッ、目的は何だ!?」

「‥へ?」

「お前はここへ何をしに来た。何を得る為に旅をしようと思ったか言ってみろ。ここへ来るからには‥何か余程の──」

「──ぁ‥そうだ、『ハルカ』──」





──『ハルカ』。





僕が想っているのは『ハルカ』だ。





けど今、

僕はこの金髪少女にときめいている。





「‥!?」





ぅ‥

浮いた‥?





「懲りん奴じゃな‥‥‥」





ギンカクだ。





「‥‥‥見ておったぞ‥?」

「くぁー、その冷たい目、たまんないなァ」

「煩い。姉者に抱き付くとは何事じゃっ」

「──止めんかギンカク」

「ぁ‥‥‥姉者‥?」

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