《MUMEI》

「隆志……俺さ…」




心臓が…




痛い。






「隆志…俺…」






苦しい…




でも




でも








言わなきゃならない。






「俺…、おれ…」






俺の手が奮え爪が皿にあたり、カタカタと音が鳴りだす。




「……あ…」




奮える手を抑えられ、皿がするりとなくなった。




それはベッドサイドのワゴンに置れ、コトリと音がした。





そして、隆志はベッドに座り、俺を引き寄せ、ふわりと抱きしめた。





「大丈夫だから…」





大きな手が俺の背中を撫でる。





「ち…が……、大丈夫、じゃない…」






俺は隆志に優しくされる資格はない。




「惇、本当に大丈夫だから、今はゆっくり休むんだ、……
余計な事は考えないで」



「〜〜〜……」




広い胸に安心する俺。





慣れた匂いに擦り寄りたくなる俺。







裕斗が傍にいたら裕斗でいっぱいになるのに







隆志が傍にいると…








髪を撫でられ、顎を持ち上げられると自然に眼を閉じてしまう。







キスを待つ、いい加減な俺。






柔らかく触れあい、




緩く舌が侵入してくると











俺は隆志に腕を回し、深いキスを求め始めた。












「惇が誰をどれだけ好きでも構わない…、俺にとって惇は1番大切な人間だから。




何がなんでも守る、たとえ惇の中から俺が綺麗に抜けさったとしても…


陰からしか手を差し延べる事ができなくなったとしても…




愛してるよ、どんな惇だって愛しくて愛しくて


たまらないんだ」

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