《MUMEI》
「隆志……俺さ…」
心臓が…
痛い。
「隆志…俺…」
苦しい…
でも
でも
言わなきゃならない。
「俺…、おれ…」
俺の手が奮え爪が皿にあたり、カタカタと音が鳴りだす。
「……あ…」
奮える手を抑えられ、皿がするりとなくなった。
それはベッドサイドのワゴンに置れ、コトリと音がした。
そして、隆志はベッドに座り、俺を引き寄せ、ふわりと抱きしめた。
「大丈夫だから…」
大きな手が俺の背中を撫でる。
「ち…が……、大丈夫、じゃない…」
俺は隆志に優しくされる資格はない。
「惇、本当に大丈夫だから、今はゆっくり休むんだ、……
余計な事は考えないで」
「〜〜〜……」
広い胸に安心する俺。
慣れた匂いに擦り寄りたくなる俺。
裕斗が傍にいたら裕斗でいっぱいになるのに
隆志が傍にいると…
髪を撫でられ、顎を持ち上げられると自然に眼を閉じてしまう。
キスを待つ、いい加減な俺。
柔らかく触れあい、
緩く舌が侵入してくると
俺は隆志に腕を回し、深いキスを求め始めた。
▽
「惇が誰をどれだけ好きでも構わない…、俺にとって惇は1番大切な人間だから。
何がなんでも守る、たとえ惇の中から俺が綺麗に抜けさったとしても…
陰からしか手を差し延べる事ができなくなったとしても…
愛してるよ、どんな惇だって愛しくて愛しくて
たまらないんだ」
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