《MUMEI》

兼松は先程から大金を毟り取られ続けた芸妓を睨み上げた。



〆華はそんな無言の恫喝を軽くいなし、追撃の手を弛めようとしない。



その細い指先に抓む手札には、しっかりと「芒に月」…



…"月光の札"が握られていた…。




゚・:*:.。*。.:*:・゚*゚・:*:.。*。.:



6年前……土砂降りの夜…


…加奈子の病室で…。




病室の窓際に立つ猪俣の顔を
"月光"が照らし出した。



猪俣が重い口を開いて発した言葉…





『直美は……………死んだ…。』




その一言を聞いた加奈子の目の前が真っ暗になった。

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