《MUMEI》 不思議枇杷の音が、風に運ばれて行く。 (幾度聴いても良い音だな‥) 彩貴は、何故この盲目の娘がこんなにも美しい調べを奏でるのか──それが不思議でならなかった。 「‥?」 先程までくっきりとしていた霊の輪郭が、次第にぼやけ始めてきた。 (浄化‥されているというのか‥?) あり得ない、と彩貴は思う。 悪霊を浄化させる事が出来るのは、陰陽師か巫女だけだ。 (この娘‥‥‥何者だ‥?) この容姿‥あまりにも、妹に似過ぎている。 (‥まさかな‥) 「──彩貴」 「‥?」 「見ろ」 「────!?」 彩貴が、目の前の光景に目を見開いた。 前へ |次へ |
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