《MUMEI》 桜の紋(‥やはりこの娘‥) 只者ではない。 悪霊を浄化し、昇天させるなど──只の人間である筈がない。 「‥奏美」 「はい‥?」 「‥‥‥衣の背を‥見せてくれるか」 「‥?」 奏美は戸惑いつつも、長く垂らした後ろ髪を掻き上げる。 露になった衣の背に、現われたもの。 「‥!」 「彩貴さん‥?」 (‥桜の紋‥) それは、夜桜の衣に染め付けられたものと同じだった。 (この娘は‥‥‥) この娘は、一体‥。 「彩貴、どうした」 「‥‥‥‥‥‥‥」 「おい、彩貴‥?」 「夜桜‥‥‥」 「どうしたんだ‥?」 「彼女は‥‥‥もしや‥」 前へ |次へ |
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