《MUMEI》 さて、我が家に着くと先ずは鍵を掛ける。 逃げられなくするためだ。 「なんで、真っ直ぐ帰らない?」 俺の問い掛けにふて腐れている。 「……だって一人で映画は嫌だから。」 「明日でもいいじゃない。」 「明日は俺、仕事だって言ったじゃん!」 あー、そうだった。 「光、来なさい。」 寝室側に離れている光を向かい合わせに正座させる。 「……殴る?」 かなり怯えさせている……やだ、俺そんな顔に出してるの? 「殴らないよ、ただね………………いきなり会った知らない人についていかないこと!」 捨てられたペットかお前は、……まで喉元から出かかって止めた。 「茉理イイヤツだよ! それに、国雄との出会いもそうだった!」 「茉理がイイヤツなのは分かるが俺はイイヤツじゃなかったろうが! 内臓の一つ持ってかれても文句は言えないぞ?!」 初めて会った光を目茶苦茶したのは過ぎた想ひ出だ。 「それで……心配して用事放り出して来てくれたんだ。」 光が当て付けに俺の家に携帯忘れてるからだろう。 公衆電話からかかって来たときは警察に連絡するか迷っていたときだった。 「はぁ……、また予約し直しだよ……」 「予約?」 しまった、口が滑った。 「……普通免許の。」 「取るの?!」 「足になってくれてた後輩が独立するからな、自力で頑張るしかないわ……。」 教本もしっかり隠していたのに自爆した。 「えー、いきなりだね?」 不審がられた。 「ボケる前に運転しておこうと思ってな。センスはあるって言われた、売店のお嬢さんに。」 「売店のおばさん、国雄のファンなんだろ……それでいっぱいおまけとかして貰ってるんだろう!」 「あ、おまけはして貰ってるよ?」 分かってらっしゃる。 「いいけどさ別に、叔父さんの戯言だからね!あ、でも……乗せてね?」 「安全が保障されればね?」 ある計画の為に免許には必要だ。 教官を誑かしてでも取る。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |