《MUMEI》 琵琶「陽桜‥?」 「──奏美の‥本当の名だ」 「本当の‥‥‥名‥」 ならば彼女は、自分の‥。 「──姫様‥」 「『夜桜』と──そう呼んではくれまいか」 「‥ぇ‥」 「私もお前を『陽桜』と呼ぼう」 「───────」 「無理にとは言わん‥お前が呼びたくなったらでいい」 「──夜桜‥」 微かに、そう呟く声がした。 その声の主は奏美──陽桜であった。 「済みません‥」 「何故謝る?」 「私は‥‥‥」 「お前は何も悪い事などしてはおらんだろう?」 「‥‥‥違うんです」 「‥?」 「この琵琶‥」 「その琵琶がどうしたんだ‥?」 「‥‥‥妖なんです‥」 前へ |次へ |
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