《MUMEI》
真実
「妖‥?」

 夜桜はきょとんとした。

 どう見てもそれは、普通の琵琶なのだ。

(妖気を‥消しているという事か‥?)

「──私に、時々話しかけてくるんです。直接ではないですが──」

「‥済まん、少し触れてもいいか‥?」

「──はい」

「───────」

 やはり、妖気は感じない。

(おかしいな‥)

「姫ー」

「‥どうかしたか」

「あのなー?」

「おれ達この妖知ってるぞー?」

「妖っていうかな、元々は幽霊──」

「何故黙っていた、琥鬼」

「‥だって、その方がいいって思ったんだ」

「思ったんだ」

 三匹はうなだれて、言った。

「そ奴は既に‥その琵琶と完全に同化してしまっている。そのまま琵琶としていさせてやってはくれんか、彩貴」

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