《MUMEI》

しかし気の小さい玉二には、ひったくりは向かなかったようだ。

二回目で捕まった。しかも相手が悪かった。

ひったくろうとしたのが、チンピラの鞄だったのだ。

「おい兄ちゃん、俺の鞄パクろうやなんていい度胸やんけ」

チンピラに路地裏まで引っ張られ、いちゃもんをつけられる玉二。

びびって糞尿を垂らしていた。

足はガクガク震え、目は裏返っていた。

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