《MUMEI》
談話
 二人残された夜桜と陽桜は、ゆっくりと──邸に向かい歩いていた。

「あの‥」

「ん?」

「黙っていてごめんなさい‥。私──」

「何を謝る事がある?」

「夜桜‥?」

「私は嬉しかったぞ、お前の事を知れて──。それにお前は、凄い特技を持っている」

 優しい声音に、陽桜は安堵の笑みを浮かべた。

「私は光を知らないけれど──陽のように誰かを‥温める事が出来るなら──」

「何を言う、もうお前はそれをしているでは無いか」

「ぇ‥」

「あの霊も、お前のお陰で浮かばれた」

「───────」

「──そうだ」

「?」

「名前を付けてもいいか‥?」

「名前?」

「ぁぁ、その琵琶に」

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