《MUMEI》
ダイナマイト
「げっ!こいつ、マジで火つけやがった!」
「ど、どうすんの?」
あたふたする二人を面白そうに眺めながら、草野は火のついたダイナマイトをそっと、ユウゴの方へ転がした。

「お、まえ!」
ユウゴは草野を睨み付けながら、迫り来る爆発から逃げようと、後ずさる。
そして、すぐ後ろは瓦礫の山だと気付き、慌てて草野がいる方へと足を踏み出した。
しかし、ユウゴはすぐにその足を引っ込めた。

足元に次々と転がってくるのは、草野お手製ダイナマイト。

 草野は満足そうにその爆発物を眺め、笑いながら一つ頷いて走り去った。

「あ!!てめ、待てこら!」
「ユウゴ!それより、早く逃げなきゃ」
ユキナがユウゴの服を引っ張った。

足元には、導火線があと僅かのダイナマイトがいくつも転がっている。
「だ、だな!よし!」
ユウゴは迷いなく、瓦礫の山を登り始めた。

「ほら、お前も早く来い」
ユキナは何か言いたげだったが、火花の散る音を聞き、急いでユウゴに続いた。

 足場のひどく悪い中、二人は尋常じゃないスピードで瓦礫を登って行く。

その直後、すさまじい衝撃が辺りを襲った。

二人は悲鳴をあげたが、爆発の音で掻き消された。
熱風と風圧が二人を吹き飛ばす。

ユウゴとユキナの体はアーケードの瓦礫と共に、まるで人形のように宙を舞ったのだった。

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