《MUMEI》 かき氷“おー、ひゃっこい風が出てきよる” 「涼しくなった?」 “表面はな──” 「表面?」 “そや。中身はまだ冷えとらん‥” 「うーん‥‥‥そだっ、かき氷作ってあげよっか」 「かき氷? 何や──あんたらも食べるんやな──」 雪子はうちわでパタパタ仰ぎながら、 意外そうに言った。 「ほな頼むわ、蜜は苺な」 「──分かった。‥ぁ、気温はこれで調節してね」 “? このぼっち押せばええんか?” 「うん」 “了解や” そう言った雪子に安心して、 あたしはかき氷を作りに台所に向かった。 前へ |次へ |
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