《MUMEI》

最後に猪俣は、背中越しに語りかけた。



『加奈子…お前とはもう会うことは無いだろう…


……達者でな…。』



猪俣はそう言い残して病室を後にした…。



猪俣の身を案じる言葉を探す加奈子の口元は、只震えるだけだった…。



窓から射し込む月明かりが、静かな病室を蒼白く染めていた…。




゚・:*:.。*。.:*:・゚*゚・:*:.。*。.:



〆華は月明かりの札…「芒に月」を、場の「芒に鳫」に叩きつける!



兼松の顔色が気色ばんだ。

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