《MUMEI》

「──そや、ほんまに初めてやった‥‥‥」

「どうした‥? 何かしんみりして」

「ずっと──守ったらなあかんてそればっかり思とったけど‥それて‥好きいう事やったんやな──」

「ん、お前マジで気付いてなかったのか‥?」

「ぁぁ‥気付いとらんかった」





──恋なんてもんは、

好きなんて気持ちは、知らんかったんやから。





それが、どないなもんで──どないな気持ちになるもんなんか。





オレは、何も知らんかった。





1年経って、やっと分かってん。





ぁぁ──これが『恋』なんやなぁ、これが──『好き』いう事なんやなぁて。

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