《MUMEI》
気紛れ
「ぇ‥そうなの‥!?」

“ほんまに知らんかったんかいな‥”

「だって──‥」

“まぁええわ。とにかくおおきにな、佐季。──ほな、また来年”

「来年‥?」

“『たぶん』やけどな”

「たぶんって──」

“うちは気紛れやからな、ひょっとしたら明日も来るかも分からへんで? ──何や、笑うて”

「そんなにしょっちゅう夏に雪が降ったら大ニュースになっちゃうよ」

“ぁぁ‥それもそやな──”





雪子は苦笑して、

窓を開けた。





“それ、なくしたらあんたの事凍らすでな?”

「なくさないよ、ていうかこれ溶けちゃわないの?」

「溶けるはずあらへんやん、うちの妖気で外側固めてあるんやもん」

「へぇ‥」

“ほなな、佐季”

「──うん、バイバイ」

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