《MUMEI》

「ルールは簡単だ。
お前達下僕は自分の属する学校の主人を守る。武器は赤い色水入りの水鉄砲を各自所持し、腹部が赤くなったらその場に待機だ。主人は鍵を持っていて鍵を取られると所持している下僕が4分の1と主人以外は動けなくなる。先に3つの鍵を集めたら勝ちになる。
鍵を奪われ主人が赤い水を浴びたらゲームオーバー、下僕は死ぬ覚悟で鍵と主人を守り通す決まりだ。」

千秋様が鍵を見せてくれた。
銀色で、童話にでも出てきそうなお洒落な鍵である。


「つまり俺達は千秋の『決まった下僕』ということなんだな?」

螢さんは理解力が高い、僕なんかは千秋様の説明を聞いてもちんぷんかんぷんだ。


「だから教師も指定ジャージなんだな……」

気付けば楠先生も僕達と同じ指定ジャージを着ていた。全然、違和感無く着こなしている。


「先生とってもお似合いです。」

僕の言葉がお世辞に聞こえたのか苦々しい笑みでもって先生が返してくれた。


「氷室様、腹に水が当たらなければどこがどうなってもいいんですか?」

志雄君は中々闘争的である。僕も見習いたい。


「問題無い、保健室は常時開いている。」

千秋様を守るためには血を流すのも厭わないぞ……!


「つまりどうなろうとも保健室に行け……と。」

螢さんが苦笑する。


「つまり、絞められても切られても打たれても削がれても踏みにじられても爛れても縛られても保健室に……?」

志雄君が目を爛々と輝かせた。


「そがれ……?」


「珠緒君は知らなくていいんだよ。」

螢さんに耳を塞がれる。

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