《MUMEI》
ライム
沢村翔はライムへの思いをびんせんに書いた。独り言を繰り返していたら、本当に危ないと考えた。
びんせんに、天使への手紙として、ライムへの思いを書き綴っていった。
どこかで見ているかもしれないし、再会したときに渡すプレゼントにもなると思った。
「日時も書こう」
翔は、一日に何度もライムのことを思った。日時を書けばそれがわかる。それでライムが喜んでくれるかどうかはわからない。
片思いの恋とは、そういうものだ。
翔は自分の恋愛を振り返った。片思いはだいたい片思いで終わった。付き合うときは、最初からフィーリングが合って、特に告白をする場面もなく、自然に親しくなっていくパターンがほとんとだ。
直感的に片思いは厳しいとわかっていた。しかも相手は人間ではないのだ。
「関係ない」
情熱の闘将は吐き捨てた。
「全く関係ない」
ライム。
彼女に語りかけるようにペンが走る。
今どこにいる?
君が元気ならそれでいいんだ。夢でもいいから、元気ということを知らせてほしい。
オレは頑張ってる。ライムに早く会いたいから。ライムがすべてだから…。
文章にもポエムにもなっていないか。それでもいい。とにかく好きなんだから仕方ない。
ライム。
でも君とは自然に接することができたよ。ライムの人柄かな。優しいからかもしれない。君はいつでも優しかった…。
「ライム」
ダメだ。胸が焦げる。
「会いたい」
重症だ。
「ライム…」

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