《MUMEI》

「あたしもいっぺん会うてみたいなぁ、碧依ちゃんに──」

「何でや?」

「弟の初恋の相手やもん」

「楽しそうやなぁ、瑠奈姉──」

「何言うとん、同じ腹から産まれたんやん」

「──瑠奈姉は──」

「?」

「‥ぁ‥ぃゃ、何でもあらへん」

「──実はな?」

「ぇ、何かあるんか‥?」

「昨日な、ええ人に会うてもうてん」

「ほんまかっ? 誰なん?」

「しーっ‥。これ、まだ内緒やで? ──あんな、喫茶店経営しとる人やねんけど──そん人な、むっちゃええ人なんよ〜」

「──瑠奈姉が好きそうなタイプやな」

「ほんでな、土曜日また会うてみよかな〜て」





そう話す瑠奈姉は、

ほんまに嬉しそうで──。





聞いとるオレまで、

嬉しなってもうた。

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