《MUMEI》

「何度も迷ってばっかで…、俺はフラフラしっぱなしだ…」





「…いーんだよ、仕方ねー事なんだよ」




「裕斗とは比べらんねー位隆志が好きだって確信したのに、やっぱり裕斗がめちゃめちゃ好きだって気づいて…、


突っ走ったり…、でも隆志の腕の中も安心するなんて




俺自分で自分がわかんねーよ…、





仕事も気になってしょうがねーし。




もうアタマん中ぐちゃぐちゃだよ…」





背中を掴む力を強くすると更に強く、抱きしめられた。





「俺だってここまでくる中、何度迷ったかわかんねーし…、正直可愛い女の子みると鼻の下伸びそうになるし…、



刺された後怖くなって、お前の事から逃げだしたくなった事もある、


だけど



今は


何も怖くない、




惇を守りたい、裕斗を好きな惇でもいいから



守りたいんだ」














急なスケジュールの変更で隆志が病室を後にした。





無性に





裕斗に会いたい。







裕斗に会いたい。







裕斗に…



早く会いたい…






入院してから一度も病室を出た事がない。





俺は過労で倒れた事になっているから病室から出るなと言われているからだ。






テレビも雑誌もいい加減飽きた。



ちょっとは病室の外に出てみよう…。





平山さんはまだ来ないだろうし…。




少しなら…。

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