《MUMEI》 「俺を呼んだのが失敗ってこと。」 陽炎はアラタを押し倒した。球技大会のフラッシュバックが起きる。 包帯も乱れた。両目の世界はみにくい。 見にくくて醜い。 「やだ、やめて 言うことちゃんと聞け。」 アラタの体は震えが止まない。 湿った草や木のニオイがした。間近に顔がある。 唾でも吐いてやろうかとも考えた。 陽炎はアヅサを身動き取れないようにし、自らの口へ何かを含ませ そして、そのまま、アヅサの唇を塞ぐ。 口をこじ開けられ舌を入れられた、唾液の混じる水分のぬめる感触と口内で広がる苦味に嫌悪した。 アラタの口からは唾液と水とが溢れてびちゃびちゃに垂れていた。 前へ |次へ |
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