《MUMEI》
はぁ はぁ
…は…………
口に含まされたものを飲み込んで解放された。
互いに息も絶え絶えで肩の動きから酸素を送っていることを理解する。
離れる瞬間、力いっぱい下唇を噛んでやった。
苦味と鉄の味がする。
「……違反だ……」
「……いくらでも受けます
それともこれが罰ですか?」
申し訳なさそうに俯いて片手で滲んだ血を拭う。
「ほざいてろ」
陽炎が立ち上がるとアラタを抱き抱えて車の後部座席へ運ぶ。
正直、体力もかなり落ち込んでギリギリだった。
なんだかんだいって彼の手際の良さは紅蓮の次くらいに評価している。
しかし、自分が肌を許す時以外に触られるというのは気にくわない。
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ
携帯小説の
(C)無銘文庫