《MUMEI》
愛は会社を救う(81)
「すぐ探せ、今すぐにだ!」
脂ぎった顔を真っ赤にして、副支店長が怒鳴っている。
もちろん相手は、総務グループリーダーの丸亀だ。
由香里の活躍が目覚しくなって以降、副支店長から丸亀への風当たりは、ますます強くなっていた。
「何をあんなにお怒りなんです?」
それとなく営業グループリーダーのデスクに近付き、様子を尋ねる。
私の顔を見た途端、仲原はまるで信頼の置ける部下にでも接するように、親しそうな笑顔を浮かべた。私にもっと近くへ寄るよう、手招きで促している。
「明後日、視察が来んのよ。その時に揃えて置かなきゃならない基本資料のリストがあったらしいんだけど、それが見つからないんだってさ」
「視察は、10月の改組に関わるものですね」
「ああ。統合先の支店と本社の総務担当者が揃って、細かい案件を詰めに来るそうだ」
「そうですか。ありがとうございます」
私は仲原に一礼すると身体の向きを変え、総務グループのエリアへと向かって歩き出した。

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