《MUMEI》
待っていたメンバー
「ごめんなさい、呼び出して」

「いえ。ところで、希先輩」


俺は、一番気になった事を質問した。


「柊がいないけど、いいんですか?」


希先輩と過ごせる貴重な土曜日に、柊が来ていないのが意外だった。


「今回は関係無いから席を外してもらったの」

「はぁ」


希先輩は、柊がいたら号泣しそうなセリフをサラリと言った。


「雅樹は関係あるから呼んだんだぞ」


(一緒にいたいだけじゃ無かったのか)


葛西先輩の表情が真剣だったから、祐の言葉が嘘ではないようだ。


(その話の流れでいくと…)


俺は、最後に自分より小さな人物を見つめた。


「俺は、現場を見たからな!」

「現場?」


男にしては声も高めなその先輩の言葉に、俺は首を傾げた。


「いじめの現場だ! 俺はいじめが大嫌いだからな」

「政宗ちゃんは正義感強いからな」

「お前等だってそうだろう?」

「希と雅樹はともかく、俺はいじめが嫌いなだけ」

「それで十分だろう?」


「ちょ、ちょっと待って下さい!」


(何だ一体?)


俺は一人事情がわからず、目の前で意気投合している祐と


大蔵先輩を慌てて止めた。

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