《MUMEI》
いじめの原因
「田中君と津田がいなかったのが一番の原因じゃないかな」

「そうね。いじめが始まったの、二人が修学旅行行ってからだし」

「あと、頼が止めないのが悪い」


葛西先輩の言葉に、希先輩も同意し


祐は、何もしない頼を責めた。


「でも、それだけじゃない気がする」


大蔵先輩は、別の考えがあるようだった。


「…と、いうと?」


俺はそれに興味を持った。


「朝倉って子が、田中に近付いたといっても、田中は朝倉に興味無かったわけだろ?」


確認するように言う大蔵先輩の言葉に、俺は頷いた。


「だったら、ファンクラブ会長の津田がそれを会員に伝えないのはおかしい」

「「…あ!」」


その言葉に反応したのは祐と希先輩だった。


「どういう意味だ?」


葛西先輩と俺は首を傾げた。


「志貴は、祐也に近付く人間が、祐也にとってどんな人間かちゃんと会報に書くんだよ」

「例えば、田中君の後輩に仲がいい松本さんがいるでしょう?」

「あ、はい」


希先輩の言葉に、俺は頷いた。


「志貴ちゃんは、松本さんの時にはちゃんと、松本さんは厳君が好きだし、ただの後輩だからいじめないようにって注意したの」

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