《MUMEI》
悲しい現実
「だから、いじめた? いじめを無視した? いじめをあおった?」

「否定はしないわ」

「「俺も」」


(俺はして欲しかった)


「…大蔵先輩が」


だから、俺は口を開いた。


「大蔵先輩が、誰かが暗躍してるって言ってた」


(だから、否定してくれ)


そして、いつものように笑って欲しかった。


「…今回、私は本気で怒っていたの」

「俺もそれに協力した」


何の話かわからず首を傾げる厳と違い、志貴と頼は口調を変えなかった。


「…っ…もういい!」


俺は、音楽室を飛び出した。


飛び出しても、志貴と同じクラスで、志貴と会わなければならない。


(…っ…)


心の整理がつかなかった俺は、教室にではなく


保健室に、向かった。



(理由をつけて、早退しよう)


部活に行けば、頼がいるから。


(荷物は、守にでも頼めばいい)


そして、俺は保健室のドアを開けた。

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