《MUMEI》
本物のストーカー
「だ、誰!?」


俺がドアを開けた瞬間、悲鳴のような声が中から聞こえた。


(この声…まさか)


俺はベッドを覗いた。


(やっぱり)


「祐也…先輩…」


そこにいたのは奈都だった。


たった数日しか経っていなかったのに、その姿は弱々しく、何かに怯えていた。


(俺といると、またいじめが始まるかもしれないな)


俺は奈都の側にいない方がいいと思った。


なのに


「待って、待って下さい、祐也先輩! お願い! 助けて下さい!」


そう言って、奈都は後ろから抱きついてきた。


(どういう事だ?)


いじめは止まっているはずだ。


何も言えない俺に奈都は叫んだ。


「ストーカーに狙われてるんです! 今度こそ本物の!

お願いします!助けて下さい!」

「…いじめじゃなくて?」

「あんなの大した事じゃありません!」


(どういう事だ?)


必死に泣き叫ぶ奈都が嘘をついているようには見えなかった。


「顔を狙われたって聞いたけど?」

「あの時の集団だけは、金で雇われたって言ってました! あれもきっとストーカーの仕業です」


(…どうなってるんだ?)

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