《MUMEI》
ストーカーの謎
「とりあえず、落ち着いて。ストーカーについて、もっと詳しく教えてくれないか?」

「助けてくれるんですか?」


奈都は震えながら俺を見つめた。


その目は真っ赤になっていた。


(別に助ける義理は無いけど)


普通は、こんなに困っている人間の必死な訴えを無視できないと思った。


「…助けられるかはわからないけど、…とにかく、話してみて」


俺は、奈都をベッドに座らせ、自分は椅子を持ってきて向かい側に座った。


そして、奈都が落ち着くのを待った。


やがて奈都はゆっくりと、ここ数日あった出来事について語り始めた。


俺のファンクラブが奈都に行ったいじめは、大蔵先輩が見たもの以外は、無視するとか、睨みつけるとか、陰口を言うという、奈都にとっては大した事では無かったらしい。


しかし、奈都を悩ませたのは、丁度俺が修学旅行に行く前の晩から毎晩続く無言電話や


下駄箱に入っている自分の写真の切り抜き


そして、帰り道に感じる視線だったという。


「母親に迎えに来てもらわなかったのか?」

「すぐ、頼んだんですが…」


奈都は、一旦言葉を切り、周囲を警戒するように小さな声で衝撃的な内容を語った。

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