《MUMEI》
まともな食事
「──どうぞ‥」





差し出された膳には、

僕が想像していたような奇抜な料理は出て来なかった。





わりと、

まともな食事だった。





「では、私はこれで‥」

「ぁっ‥君──」

「どうか‥しましたか‥?」

「ぁ、ぃゃ‥その──‥」

「気をつけて下さいね‥夜」

「夜‥? ‥やっぱり──」

「では、お布団を敷きにまた来ますね‥」

「──ぁ、ちょっと」

「‥?」

「ここで働いているのは‥君だけなのかい‥?」

「──いえ、お女将さんがいるんですが‥ここの所‥臥せてしまっていて‥」

「そう、か‥」





まぁとにかく‥

屋根があるだけまし、

だな‥。

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