《MUMEI》
ストーカーの正体
「ヤッホー祐也」

「朝以来ね」


気まずい気持ちの俺とは裏腹に、その二人


頼と志貴は笑顔だった。


「何で、二人が?」


無言の俺の隣で奈都が質問した。


「中に入ればわかるわよ」

「もう終わってる頃だしな」


二人は奈都ではなく、俺に向かってそう言うと、公園内に入っていった。


「どういう意味でしょう?」

「さぁ…」


俺と奈都はわけがわからないままそれに続いた。


「あー祐也!」

「よう!」


(やっぱり、あの声…)



俺に向かって手を振っていたのは、柊と、大蔵先輩という異色の組み合わせで


二人は、奈都が話していたストーカー


ヘルメットをかぶったままの男を取り抑えていた。


今は無言だが、俺はその男の声をさっき聞いていた。


そして


「…松木?」


そっとその名を呼びかけた。


ストーカーの肩がビクリと震えた。


「正解」


頼が取ったヘルメットの下にあった顔は


確かに、同じ部活と委員会の後輩だった。


(松木が、奈都のストーカー?)


「…何で?」


俺は自然とそう質問していた。

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