《MUMEI》 松木の過去「だって…… だ、から」 (聞こえないな) 「近付くな、祐也」 松木に近付こうとする俺を、頼が引き止めた。 そんな頼を、松木は何故か睨みつけていた。 「話すから、その手を離せ」 頼に向かってそう言った松木の言葉には、尋常ではない殺気がこもっていた。 「さすが元ヤンね」 「…は?」 「黙れ! 余計な事言うんじゃねーよ!」 志貴の一言で、松木の口調が変わった。 「いいの? 敬語苦手だから祐也の前では無口キャラだったのに」 志貴がからかうように言うと 「ちなみに昔の写真あるよ」 柊がそれに便乗した。 「や、やめろ!」 そうして俺が見せられた写真に写っていたのは 金髪で、山ほどピアスをつけ 着崩した学ランを着て、こちらを睨んでいる松木だった。 「ちなみに松木はダブってるから同い年だよ。 祐也に会いたくて 好かれたくて 更生したんだよね?」 「でも、ストーカーになる事は無いわよね」 「だな」 「ストーカーは犯罪だ!」 (…え?) 「今の話だと、彼は祐也先輩のストーカーみたいに聞こえますけど…」 それまで呆然としていた奈都が口を開いた。 前へ |次へ |
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