《MUMEI》
椿
「──そういえば‥」

「‥はい‥何か‥?」

「ぁぁ、ぃゃ‥君の名前をまだ知らなかったと思って──」

「椿です‥」

「椿──」

「はい‥」

「いい名前だな──」

「そう‥ですか‥?」

「ぁぁ」

「───────」





椿は、

また俯いた。





どうやら、

恥ずかしいらしい。





「あの‥あなたはどうしてこの町に‥?」

「どうして‥だろうな──何となくふらっと歩いてみたくなったんだ。そういう事ってないかい? こう──日常を離れて‥」

「‥私はずっとここにいるので‥。でも、いいですね──そういうの」

「──良かった」

「?」

「変わり者と思われるかと思っていたけど──」

「ふふっ、そんな事ないですよ‥。ぁ‥、ところで‥あなたのお名前は──」

「千寿──千に寿と書いてチヒロだ」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫