《MUMEI》

『ねぇ?僕も街へ行
っては、ダメ?』

幼い頃、ラント修道
師様に尋ねた。

週末や休暇になると
仲間の見習い修道士
達は、親元に帰省し
たり街へ繰り出した
りしていた。

その後ろ姿をひとり
ぼっちで見送るのが
寂しくて嫌だった。


『ジェルマ…』
ラント修道師様はち
ょっと困った顔をし
て僕を見つめた。

僕は修道院から外に
出る事は許されてい
なかった。

理由は解らないまま
時は過ぎた…


…まさか、こんな形
で外に出るなんて思
わなかったけど…

そうだ、ケインに頼
んで街へ連れて行っ
て貰おう…

初めての…外の世界
に僕は思いを馳せる

それに〜街へ行けば
大修道師長様の安否
も判るはず…

…いつも僕を気にか
けて下さった優しい
大修道師長様…

…どうかご無事で…

再び僕の首にリボン
で巻かれたロザリオ
に祈った。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫