《MUMEI》

ハァッハアッ…
ケインは走っている

…クソッ!何処だ?
ジェルマー何処に行
った?

ケインは珍しく焦っ
ていた。


…やはり街へ連れて
出るんじゃなかった
ぜ…


…一時間前の事…


『ねぇ?ケイン、僕
も街へ着いていっち
やダメ?』


『駄目だ!ここで大
人しくしてろ。』


『……』
ジェルマは捨てられ
た仔犬の様な目で俺
を見た。


ベッドの上で膝を抱
えて座り、クルリと
俺に背中を向け呟いた


『ケイン…僕ね、修
道院の中の世界しか
知らないんだ。

だから…』

ギュッ!
急に振り向き、俺の
袖口を掴む。

『ね?お願い、僕も
連れて行って?』


…うっコイツ…
分かってやってるの
か?


結局…変装する事を
条件に街へ連れて行
く事になった。

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