《MUMEI》

《地下駐車場Aー21》紙切れに書かれた文

社さんと別れて地下
駐車場へと歩く。


『Aー21』
黒のスポーツカーが
止めてある。


コンコン…
運転席の窓を叩く。
静かに窓が降りる。


『もしかして、お前
ニセモノ?』

如月の疑惑の
声がした。


まあ、無理も無い。
さっき花音の変装を
解いたし〜。


『何処のオタクだよ
お前、ダッセェな!』


『う、煩いな。僕は
これで16年生きて来
たんだ、お前にとや
かく言われたくない』


『ふーん、ま、いい
から乗れ!』


『え゙?断ったら?』


『花音は男だってバ
ラす。ファンを裏切
ってるよなー連ドラ
降板だよなー?』

シレッとした顔で
呟いた。


バタン…
助手席に僕を乗せて
黒のポルシェは地上
へと軽やかに走り出
した。

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