《MUMEI》
1章 先輩の背中【藍伊side】
──早朝の体育館に、

バスケットボールの弾む音。





「───────」





──決まった。





「おっ、また今日も見学かー?」

「ぇっ‥ぃぇ‥違います‥。今日はたまたま早く来て‥」

「──へぇー、そうかぁ」





先輩は、

器用にボールを操りながら言った。





「最近、雨ばっかだよなぁ」

「はい‥。ぁ、でも私──雨も好きです。雨上がりにはたまに虹とか見えたりしますし──。葉っぱの上で雫がキラキラして綺麗だったり‥」

「──ははっ、お前面白いなぁ」

「‥?」

「──ほらっ」

「ゎっ‥‥‥‥先輩‥」

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