《MUMEI》

「ほらっ、こっち投げてみろよ♪」

「ぇ‥」





投げ返せ、

って事ですか‥?






「どーしたー?」

「ぁ‥‥‥ぃぇ‥、──あっ」





バスケットボールが、

手から滑り落ちて‥

コロコロ転がって行く。





「す‥すいません先輩っ‥。‥?」

「お前さ──着物好きなんだなっ」

「ぇ──ぁ‥はい‥」





私の家は呉服屋で、

いつの間にか‥

着物が私の普段着になっていた。





この高校は私服が許可されているから、

私はこの格好で毎日通っている。





でも、

変わってる‥

よね‥?

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