《MUMEI》

「ん? 藤澤?」

「先輩っ‥‥‥」

「ん──何だ?」

「私‥その‥‥‥」

「似合ってるし、いいと思うぜ?」

「──ぇ──」

「お前、着物似合うからさ──つーか昔はみんな着物で当たり前だったんだし──別にいんじゃね?」

「そう‥ですか‥?」

「せっかく私服OKなんだし──好きな格好して悪いって事ねーはず、だろっ?」

「───────」

「あんまり人の目気にすんのも、疲れちまうしな」





先輩はそう言って、

2発目のゴールを決めた。





「──なっ?」

「ぁ‥はい、そう──ですね」





向けられた笑顔が眩しくて、

私はまともに先輩と目を合わせられなかった。

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