《MUMEI》

「おーい、藤澤?」

「‥ぇ」

「そろそろ1限始まるぜ? お前も教室行った方がいんじゃね?」

「ぁ‥‥‥、はいっ」





もう1限が始まる時間‥。





‥また、

今日も言えなかった。





「──────‥、!!」





いっ‥

たぁ‥。





「──おー、また派手にコケたなぁ」

「せ‥先輩っ‥!?」

「ほら、手ぇ貸してやっから」

「──ぁ‥‥‥ありがとうございます‥」





先輩の手‥

おっきい──。





私と1年しか違わないのに、

大人びてて‥

私より、

ずっと大人で‥。





「ん? 捻ったのか?」

「ぃぇ、大丈夫です──ありがとうございました‥」

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