《MUMEI》
それぞれの進路
「何だ、まだ決めてないのか?」


そう言った拓磨の進路は


第一希望 地元の専門学校

第二希望 地元に就職


だった。


(地元にこだわるのは、志貴がいるからだな…)


「ちなみに分野は?」

「自動車整備」


拓磨の話を更に詳しく聞くと、親の知り合いが自動車整備工場を経営しているらしい。


その知り合いの家に昔から遊びに行っているうちに、自分もやってみたいと思ったそうだ。


「意外とちゃんと考えてるのね」

「…っ…」


志貴にほめられた拓磨は、感動に震えていた。


(真司はサッカー関連だろうし…)


「守はやっぱり着物関係?」

「まあね。でもさ、和裁関係って女子ばっかりなんだよね。

…前は嬉しかったけど、撫子妬いちゃうかな」

「はいはい、ごちそうさま」


にやにやしてる守を、呆れたように志貴も


俺達も見ていた。


「これって、三年と一年もあるんだよな」

「三年で進路が確定してる人は保護者いなくてもいいみたいだけど」


(じゃあ志穂さんは来ないかもな)


祐と希先輩は、既に推薦入試を受け、進路が確定し


葛西先輩と三人で、自動車教習所に通い始めていた。

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