《MUMEI》
夢見る者の末路
「…で?さっきも聞いたが、どこ迄見とる?」

「あ‥赤い空が見えて、そこ目指して走ってたら、古い屋敷の前に来てるとこ迄です…。」

「屋敷の中には入っておらんのか?」

「はい…。」

「次は入れ。」

「えぇっ!!?」

またも貴士の声が響く。

「一々煩い奴じゃの…。」
「だって…あの屋敷、なんだか気味悪くて…。
こ、怖いんすよ…。」


老婆は顔をしかめて、呆れながら話しを進めていく。

「その屋敷に入らなければ、お前…その内喰われるぞ?」

「く…喰われるってどういう事ですかっ!?」


一気に鳥肌が立つ。


「夢じゃ。」

「夢?」

「あぁ。今のまま、あの夢を見続けていたら、いずれ出られなくなってしまう。」

「それって…二度と目が覚めないって事‥ですか?」
「そういう事じゃ。だがの…」

「まだ…何かあるんですか?」


声が震える。

変な汗が額から流れ落ちるのがわかる。


「ただ、それは“死”とはまた違うんじゃ。」

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