《MUMEI》 三日月の夜に「全て終わったな…」 「えぇ」 ひでのぶとナナはヒビだらけのグラスで乾杯をした。 最低ランクの、消毒液臭い安物の酒だが十分だった。 この廃墟、そして三日月の夜にはそんな酒で十分だった。 「これからどうするの?」 「そうね…どうしようかしら」 夜風にナナの髪がフワリと舞う。 憂いを秘めたその横顔は、美人としか表現しようがなかった。 「あのさ…よかったらさ、俺と…」 ひでのぶが言い終わる前に、ナナが台詞を中断した。 「残念、実は当てはあるの」 前へ |次へ |
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