《MUMEI》

「でも翔貴には関係ないじゃない」

杏里はくい止めたかった。恵には悪いが杏里は今は翔貴が全てだったのだ。

「いや、俺は孝昭にちゃんと言う」

翔貴は本気のようだった。
「わかった。でも絶対喧嘩はしないでね」

「うん」

杏里はそれを翔貴に約束させ、すぐに席についた。不安と焦りが杏里の頭を駆けめぐっていた。


(翔貴…私は翔貴が全てなの…)

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