《MUMEI》 無理矢理方向転換「あの、今日祐と希先輩面談だったんですよね!?」 初キスはいつだとか 脱童貞はいつだとか そんな際どい下ネタトークが続いてうんざりし始めた俺は、無理矢理話題を変えた。 「う、うん」 仲村さんは、俺の勢いに驚いていた。 「あの二人なら余裕だろ」 屋代さんはまた新しい缶ビールを開けた。 「うん。祐は雅樹君の心配ばかりしてたし」 「やっぱりもめたんですか?」 葛西先輩は空手部部長で、成績もいい。 そんな人物が進学せずにカメラマンの助手になると言えば、担任ともめるだろうと思った。 …の、だが 「それがさ、校長が雅樹君の師匠の大ファンだったらしくてさー」 忍や屋代さんよりはるかにスローペースだが、確実に酔っていた仲村さんは、いつもより饒舌になり、祐から聞いたその時の様子を楽しそうに語った。 「つまり、葛西先輩も進路大丈夫なんですよね」 長い説明を聞いた後、確認すると、仲村さんは深く頷いた。 「進路と言えば、田中君は?」 「高山家に就職です」 俺のかわりに忍が答えると、二人はものすごく嬉しそうな顔をしていた。 前へ |次へ |
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