《MUMEI》
銃撃
その直後、走る車のすぐ横で何かが弾ける音が連続して聞こえた。
火花が散るのが通り過ぎる一瞬に見える。
「うーわ!マジで?ここって日本だよな?な?」
彼は身を屈め、必死にしがみつきながら誰にともなく聞いた。
「しゃべるな!舌噛むぞ」
さすがに余裕のなくなってきたタツヤは、真剣な表情で右へ左へと銃撃から逃れる。
しかし、容赦ないヘリからの攻撃に車のトランク部分が被弾したらしく、ボフボフっという音と衝撃が車内に伝わる。
「このままだとやばい!お前らなんとかしろよ」
車を立て直しながらタツヤが叫ぶ。
「な、なんとかって…」
彼は座席にしがみつきながら、何かないかと見回した。
しかし、こんなに揺れていては探そうにも探せない。
「ナイフ、投げる?」
自嘲気味に笑みを浮かべながら、同じように姿勢を屈めてしがみついているレイカが言った。
「まだそんなことを…」
言ってんのか、と言おうとしたとき、車が大きく左に揺れた。
「おわ!!」
彼は突然の衝撃に座席の下へ投げ出された。
「いってえ……?」
体を起こそうと手を床についたとき、何か冷たく硬い物が手に当たった。
「おい、平気か?」
なかなか起き上がらない彼に、タツヤは聞いた。
「なんか、結構いいもん見つけたかも」
彼はまた投げ出されないように慎重に起き上がった。

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