《MUMEI》
反撃 2
パンっという音と衝撃にレイカは思わず目を閉じる。
その時突然、車が大きく左に揺れた。
「ちょっ…!!」
レイカは振られて大きく外へと体が飛び出す。
「あ、ぶね!」
彼は渾身の力を込めて、レイカの足を引っ張り戻す。
なんとか、体勢を立て直したレイカは怒りを込めてタツヤを睨んだ。
「あたしを殺す気?」
「わりぃ!カーブだったんだ。今度は気をつけるから、お嬢さんも次は当てて下さいよ」
表情を強張らせたまま、タツヤは言った。
ヘリは未だ休みなく撃ち続けてくる。
この様子では、やられるのは時間の問題かもしれない。
レイカはヘリを見上げると無言で頷いた。
「ちゃんと持って」
彼に一言そう言い放つと、再びヘリを狙って銃を構えた。
パンパンパンパン…!!今度は連続して銃声が響く。
レイカは全弾撃ち尽くすと、車内に戻ってきた。
弾が掠ったのか頬から血を流している。
それから間もなく、ヘリからの銃撃が止んだ。
「なんだ?どうなった?」
タツヤが聞く。
彼とレイカは窓からそっと顔を出し、ヘリを見上げた。

ヘリはエンジンルームの一部から黒い煙を吐き、不安定に揺れながら飛んでいる。
やがて急に進路を変えたかと思うと、どこかへ行ってしまった。

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